幸在祭(さんやれ祭)

 

さんやれ祭が2月24日、上賀茂地区で行われる。

正月(現2月24日)の御霊祭、または山宮祭で、村中の悪霊を、鉦・太鼓や唱言(元はおそらくねんぶつであったのだろう)で追い祓う祭であった。

この攘却儀礼を村の若衆組入りの十五歳の少年の成人式のようになっていった。

大将木と呼んでいる御幣で、これは「茅纏の矛」の一種である常盤木の枝のホコで御霊を追うものであると思う。、子供も大人もパレードするのが京都上賀茂のサンヤレにある。

 

10日間(いまは1日だけ)、各町内の若衆宿で寝泊まりした十五歳の「上がり」の少年と、翌年「上がり」の少年たちは、24日の当日には、樫の木の枝を手に手に持って山の神に参る。

山の神は山中に積み石にあって、ここに石を積んでホコ(常盤木)を置いてくるのが、御霊(荒魂すなわち山の神)を山中に送って封じ込めてくる意味であった。

現在は太田神社、上賀茂神社に参って成人を報告することとなった。

上賀茂の山中には、いたるところに積み石の址が残っている。

今は各町内に山の神を招き、石を積んで山と見立てている。

 

また過去に、この祭のあいだ、少年たちの石投げ(印地打)があったのも御霊を追い払うためであったのではないか。

 

(文:佐伯浩道)