頂相(ちんそう)祖師たちの絵姿

 

Ⅰ期 2024年3月17日(日)~5月12日(日)

Ⅱ期     5月26日(日)~7月21日(日)

 

 達磨を初祖に仰ぐ禅の教えは師から弟子へ連綿と受け嗣がれ、今にその法脈が受け嗣がれています。

相国寺は、夢窓疎石を勧請開山に仰ぎます。その教え、つまり法は鎌倉時代に日本へやってきた無学祖元から日本僧、高峰顕日へ伝えられ、夢窓疎石に嗣がれたものです。

 法が嗣がれたその象徴とした、師の絵姿や袈裟が弟子に渡されます。

 その絵姿を頂相といいます。頂相は法を嗣いだ証であるだけではなく、師の回忌法要の際にもかかげられます。夢窓疎石の遺徳を仰ぐ開山忌、第二世の春屋妙葩の普明忌などは、今も相国寺の重要な仏教行事として厳修されています。

 

 本展覧会では、法脈を今に伝える頂相を数多く初公開します。

 相国寺本山と、相国寺の塔頭それぞれに育まれた禅僧の営みをご覧ください。

 


 

【構成】

 

第一章 開山忌を荘厳する頂相

 

列祖図 三十幅 狩野派 江戸時代 承応四年 相国寺蔵 (Ⅰ期)

 

《列祖像三十幅   狩野派》三十幅のうち 初祖 達磨 狩野探幽筆 絹本著色 江戸時代 承応四年 (一六五五) 相国寺蔵 Ⅰ期
《列祖像三十幅 狩野派》三十幅のうち 初祖 達磨 狩野探幽筆 絹本著色 江戸時代 承応四年 (一六五五) 相国寺蔵 Ⅰ期
《列祖像三十幅   狩野派》三十幅のうち 相国寺開山 夢窓疎石 海北友雪筆 絹本著色 江戸時代  承応四年(一六五五) 相国寺蔵 Ⅰ期
《列祖像三十幅 狩野派》三十幅のうち 相国寺開山 夢窓疎石 海北友雪筆 絹本著色 江戸時代  承応四年(一六五五) 相国寺蔵 Ⅰ期

 

初公開

列祖図 二十八幅 古筆了佐寄進 承応二年 大應寺蔵 (Ⅱ期)

 

《列祖像二十八幅  古筆了佐寄進》二十八幅のうち 二祖 慧可 鳳林承章賛 絹本著色 江戸時代 承応二年(一六五三) 大應寺蔵 Ⅱ期
《列祖像二十八幅 古筆了佐寄進》二十八幅のうち 二祖 慧可 鳳林承章賛 絹本著色 江戸時代 承応二年(一六五三) 大應寺蔵 Ⅱ期

 

第二章 仏教儀礼と頂相

 

開山堂にまつられる祖師たちと年中行事

 

重要文化財 無学祖元(むがくそげん)頂相 春屋妙葩賛 伝趙子昴筆 慈照院蔵 (Ⅰ期)

高峰顕日(こうほうけんにち)頂相 夢窓疎石賛 慈照院蔵

夢窓疎石(むそうそせき)頂相 自賛 相国寺蔵

 

《高峰顕日頂相 自賛》一幅 絹本著色 鎌倉時代 相国寺蔵 通期
《高峰顕日頂相 自賛》一幅 絹本著色 鎌倉時代 相国寺蔵 通期

 

中国の祖師たちとその遠忌

 

中峰明本(ちゅうぼんみんぽん)頂相 慈照院蔵 (Ⅱ期)

雲門文偃(うんもんぶんえん)頂相 雲谷等與筆 相国寺蔵 (Ⅰ期)

 

《中峰明本頂相 広演賛》一幅 絹本淡彩 元時代 慈照院蔵 Ⅱ期
《中峰明本頂相 広演賛》一幅 絹本淡彩 元時代 慈照院蔵 Ⅱ期

 

第三章 相国寺の門派と塔頭の伝来する頂相

 

 

重要文化財 《春屋妙葩頂相 自賛》一幅 南北朝時代 絹本著色 慈照寺蔵 Ⅰ期
重要文化財 《春屋妙葩頂相 自賛》一幅 南北朝時代 絹本著色 慈照寺蔵 Ⅰ期

大智派

重要文化財 春屋妙葩(しゅんおくみょうは)頂相 慈照寺蔵 (Ⅰ期)

 

常徳派

空谷明応(くうこくみょうおう)頂相 大光明寺蔵 (Ⅰ期)

西笑承兌(せいしょうじょうたい)頂相 大光明寺蔵 (二幅、展示替あり)

 

勝定派

絶海中津(ぜっかいちゅうしん)頂相 鹿苑寺蔵(雲興軒旧蔵)

 

恵林派

 

初公開 太岳周崇(たいがくしゅうすう)頂相 相国寺蔵

 

慶雲派

緜谷周瓞(めんこくしゅうてつ)頂相 瑞渓周鳳賛 相国寺蔵

厳中周噩墨蹟 緜谷字偈/瑞渓周鳳墨蹟 緜谷和尚行状 相国寺蔵

 

慈照派

初公開 在中中淹(ざいちゅうちゅうえん)頂相 慈照院蔵 (Ⅰ期)

 

一山派

太清宗渭(たいしんそうい)頂相 瑞春院蔵  (Ⅱ期

 

 


 

第四章 禅僧の出世と頂相ー昕叔顕晫、鳳林承章を例に

 

初公開 昕叔顕晫(きんしゅくけんたく)頂相 慈照院蔵(五幅、展示替えあり)

初公開 西笑承兌書状 鹿苑寺蔵

鳳林承章(ほうりんじょうしょう)頂相 鹿苑寺蔵(三幅)

隔蓂記 鳳林承章筆 鹿苑寺蔵

 

第五章 祖師の遺品

 

初公開 袈裟  観中中諦所用(Ⅰ期)

 

 

【 みどころ1】 二つの列祖図 相国寺の三十幅(Ⅰ期)と大應寺の二十八幅(Ⅱ期)

 

 禅宗の歴代の祖師を描いた列祖図が、相国寺派に複数伝来しています。そのうち、相国寺本山に伝来する列祖像三十幅をⅠ期に、そしてⅡ期には初公開、大應寺伝来の列祖二十八幅が展示されます。相国寺の列祖像は承応四年(1655)の内裏造営の際に障壁画を担当した狩野派の絵師が、相国寺を絵所とした縁で制作を依頼したものです。一方の大應寺の列祖像は承応二年(1653)に古筆了佐が大應寺に寄進したもので、当時の相国寺や大徳寺の和尚が着賛をしています。同時代の二組の列祖像を、今回の展覧会で楽しめる企画となっています。

 

【 みどころ2】 頂相を描く禅僧たち

 

 頂相には、絵姿の上部に賛文がともなうものが多く、着賛者がだれか、そして誰に与えたのか、といった情報が込められています。今回は昕叔顕晫(きんしゅくけんたく)、鳳林承章(ほうりんじょうしょう)といった十七世紀に活躍した禅僧の複数の頂相を展示し、禅僧の頂相がいつ、どうして描かれたのかを探ります。一方で、絵姿を描いた絵師については、一部の頂相にのみ落款印章が確認されるものの、絵師がわからない作品も少なくありません。ただ、江戸時代の頂相において文室宗言( ぶんしつそうげん・相国寺法住院第九世) や、 維明周奎(いめいしゅうけい・相国寺第一一五世)ら、相国寺派の禅僧である場合、その痕跡が本紙や箱書によって判明するものも多く伝えられています。中世には周文や雪舟らを輩出した相国寺で、江戸時代に活躍した画僧たちの画技をご覧ください。

 

【 みどころ3】 相国寺の復興と頂相制作

 

 相国寺の第一世であり、鹿苑寺や慈照寺の勧請開山でもある夢窓疎石の頂相は、相国寺本山や塔頭に複数伝来しています。その成立が中世に遡るものも複数ありますが、江戸時代に入って新たに制作された頂相も多く伝来します。今回は、狩野派、住吉派などに属する職業絵師たち、そして相国寺の画僧による頂相など、本山や塔頭に伝来する夢窓疎石の頂相を複数公開されます。またⅡ期には中峰明本(ちゅうぼうみんぽん)の中国元時代製作の頂相から近世相国寺で制作された頂相まで複数ならべて公開されます。同じ禅僧の頂相でも絵師によって異なる細かな差異を比較していただくとより観覧の愉しみが増すでしょう。

 

《夢窓疎石頂相 自賛》 一幅 絹本著色 南北朝時代 相国寺蔵 通期
《夢窓疎石頂相 自賛》 一幅 絹本著色 南北朝時代 相国寺蔵 通期
《夢窓疎石頂相 太虚顕霊賛》一幅 絹本著色 江戸時代 林光院蔵 Ⅰ期
《夢窓疎石頂相 太虚顕霊賛》一幅 絹本著色 江戸時代 林光院蔵 Ⅰ期

 

【開催概要】

 

会  期:Ⅰ期 2024 年 3 月 17 日 (日) ~ 5 月 12 日 (日)   

     Ⅱ期 2024 年 5 月 26 日 (日) ~ 7 月 21 日 (日)

休  館  日:2024 年 5 月 13 日 (月) ~ 5 月 25 日 (土) 

開館時間:10 時~ 17 時 (入館は 16 時半まで)

拝  観  料:一般 800 円

     65歳以上 ・ 大学生 600 円

     中高生 300 円、 小学生 200 円

     ※一般の方に限り 20 名様以上は団体割引で各 700 円

主  催:相国寺承天閣美術館

協  賛:一般財団法人 萬年会 鹿苑寺 慈照寺

 

相国寺承天閣美術館 〒602‐0898、京都市上京区今出川通烏丸東入

HP:https://www.shokoku-ji.jp/museum/