野里住吉神社 一夜官女祭

2月20日、野里住吉神社(大阪市西淀川区)で、大変珍しい神事「一夜官女祭」(大阪府無形文化財)が行われた。

この野里の村は、昔から風水害や疫病に相次いで見舞われ、苦しんでいた村民たちに「村を救うためには神へ少女を捧げよ」という神託があり、旧暦の1月20日の丑三ッ時に、白矢の打ち込まれた家の娘を唐櫃に入れ、人身御供として捧げることになった。7年後、村を通りかかった1人の武士(岩見重太郎とも)がその話を聞いて、「神は人を救うが人に求めることはない」と、乙女の身代わりに唐櫃の中に入って生贄となった(生贄のフリをした)。翌朝、村人が様子を伺うと武士の姿はなく、唐櫃の中から転々と血の跡が続き、たどっていくと狒々(ひひ)または大蛇が死んでいたという。

講談でも「岩見重太郎の狒狒退治」として語り継がれている。

現在の一夜官女祭は2月20日に行われ、氏子より選ばれた7人の少女が、美しく飾られた御供物の桶7台(夏越桶)と共に神前に進み献じる。

これを「一夜官女」「一時上﨟」といい、かつては宮座制度によって神事が執り行われていた。

 

「一夜官女」は、この日1日、神に仕える役で7人の少女が扮し、すべての役が決まると、當矢(とうや)において、宮座衆によって神饌が調製されていたという。

現在は氏子総代が古式を継承して調製される(神饌調整中は女人禁制)。

7台の夏越桶の内容は、白蒸し、鏡餅、小餅、串柿、大根煮、白菜煮、小豆煮、豆腐白味噌煮の他、鯉(二枚おろし)、鮒(生のまま)、鯰(白味噌煮)の川魚が添えられる。曲げ物桶の中央に「龍の首」、周囲には「御花(オハナ)」という紅白の御幣が並べられる。(大阪府神社庁HP)

 

当日、野里住吉神社を出発した神職、氏子等は、7人の少女が待つ「一夜官女祭當矢」へ向かい、當矢で少女等は「官女の証」が宮司より渡され、親子別れの盃を交わしたあとに、當矢を出て野里住吉神社まで7台の桶と共に行列し、お宮の神前で神事が行われる。

 



現在の淀川
現在の淀川