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須磨離宮公園で見頃 色鮮やか花しょうぶ

 

神戸市立須磨離宮公園(神戸市須磨区)では花しょうぶが見頃を迎え、色鮮やかな紫や白、黄の花々が花しょうぶ園で来園者の目を楽しませてくれています。

見頃は今月末まで続きます。

 

同園の花しょうぶ園は広さ1250平方メートル。花しょうぶ園の特徴は四つの区域に分かれ、①江戸系、②肥後系、③伊勢系、④外国種や種間交配種のテーマがあります。中でも「源氏物語」の登場人物名を冠した「光源氏」「葵の上」「薫君」など面白い品種の花しょうぶがあり、約60種4千株の花しょうぶが植えられて、訪れる人々の目を楽しませてくれます。

 

 

ハナショウブ(花菖蒲)について

 

分類はアヤメ科アヤメ属で、学名は Iris ensata Thund.

栽培の歴史は、江戸時代に各藩の大名たちが、自身の庭園に、各地のノハナショウブが持ち込まれて栽培されたために、江戸にハナショウブが集まるようになりました。

江戸後期には、江戸に住む旗本、松平定朝(号は菖翁)の熱心な品種改良によって飛躍的に発達しました。

江戸で始まったハナショウブの栽培が肥後(熊本)に伝わり、同時期に伊勢(三重)でも育成された結果、特徴のある江戸系、肥後系、伊勢系の3系統が生まれました。

 

日本産アヤメ類の見分け方 

アヤメ、カキツバタ、ハナショウブは花色が紫色で、花や葉の形が似ているため、見分けがつきにくいですが、ポイントを押さえておくと簡単に見分けられます。

 

カキツバタ(杜若・燕子花) 花(弁元)はほぼ白、葉は中脈がない、育成場所は水辺や湿地(水中)、開花時期は5月中旬から下旬。

ハナショウブ(花菖蒲) 花は黄色が入り、葉の表に1本、裏に2本の中脈がある。育成場所は湿り気のある土(水中でない)で、開花時期は6月上旬~下旬。

アヤメ(文目・菖蒲・綾目) 花は網目状の模様で、葉は中脈が目立たない。育成場所は乾燥地で、開花時期は5月上旬~中旬。

ポイント

①弁元(花びらの中心)の模様と色

②葉の中弁の有無(花が咲いていない時期)

 

※須磨離宮公園の花しょうぶ園で、花の鑑賞期だけ水をたたえているのは風情を出すための演出とか。

 

ちなみに端午の節句に菖蒲湯で用いられる葉は、サトイモ科のショウブです。アヤメ科のハナショウブとは葉の形が似ていますが、ショウブの葉は根元が赤く、芳香があります。

 

 

須磨離宮公園ならでは・・・源氏物語の名の花しょうぶ

 

光源氏 肥後系
光源氏 肥後系
薫君 肥後系
薫君 肥後系
紫の上 江戸系
紫の上 江戸系
紫の上 江戸系
紫の上 江戸系

 

江戸系

一般的な三英花(花弁が3枚)や六英花(花弁が6枚)の他に、平咲き、玉咲き等の様々な花の形がある。

主に花菖蒲園で鑑賞するために改良されてきた。草丈が高め。

 

白仙 伊勢系
白仙 伊勢系
藤絞り 江戸系
藤絞り 江戸系
万代の波 江戸系
万代の波 江戸系

 

肥後系

堂々とした風格のある大輪花。元々は一輪の花の美しさを室内鑑賞するために改良されてきた。草丈がやや低め。

 

元禄 肥後系
元禄 肥後系
京舞 肥後系
京舞 肥後系

 

伊勢系

三英花(花弁が3枚)を基準とする。花弁は縮緬じわになって、深く垂れる。鉢植え栽培を基本に改良されてきた。草丈が低め。

 

藤袴 伊勢系
藤袴 伊勢系
美吉野 伊勢系
美吉野 伊勢系

 

長井古種

原種のノハナショウブに近い野性的なハナショウブ。

 

瓜紅 永井古種
瓜紅 永井古種
三淵の流 永井古種
三淵の流 永井古種
長井小紫 長井古種
長井小紫 長井古種

 

外国系

主にアメリカで品種改良されたハナショウブ。

 

ピンクフロスト 外国系
ピンクフロスト 外国系

 

 

 

参考資料

 

5月初旬から中旬に咲くカキツバタ(杜若)

湿地の水中に咲いています。かつて京都は平安京建設前、全市で湿地帯であった。

京都市上京区上賀茂の太田神社にて、国の天然記念物となっている。