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有馬温泉 入初式

 

有馬温泉の歴史は古く、文献的には日本書紀に舒明天皇が3ケ月滞在した記録が見えています。

有馬温泉は、神代の昔、大己貴命・少彦名命の二神によって発見されたといわれています。その後、約1,200余年前の神亀元年(724)、行基菩薩が薬師如来の霊告によって、有馬に一寺三院を建立され、温泉を再興しておおいに栄えたといいます。

また、有馬温泉は800余年ほど前、六甲山の水害のために壊滅状態になったのを、建久2年(1191)奈良吉野の僧、仁西上人が熊野権現のお告げによって有馬に来られ、温泉を再修され、薬師堂を再興し、薬師如来の十二神将にちなむ十二の坊舎を設けられ、有馬温泉は昔日の繁栄を取り戻しました。現在、有馬温泉の旅館に坊と名のつくのが多いのもそのためです。

 

このように行基菩薩・仁西上人の両師は、有馬温泉にとって開祖、中興であり、大切な恩人なのです。

このため有馬温泉では、昔から両師を偲び、また温泉の繁栄を祈って毎年正月二日に「入初式」が催行されています。

 

 

入初式は、神式・仏式の両方で行われています。

温泉神社の大己貴命のご神体と、温泉寺に伝わる行基・仁西上人の御像を御輿に乗せ、神官、僧侶、旅館の主人、有馬芸͡妓の扮する湯女等が練行列を組んで式場へ向かい、式典が始まります。

 

 

式はまず初湯をもんで適温に冷ます湯もみ行事を、湯女連が湯もみ太鼓の囃子で演じます。この湯もみが終わった後、初湯で行基・仁西両師の御像に沐浴していただきます。

 

 

神・仏式の儀式が終わると「入初式の歌」を歌い、浄米を若松で白紙に掃き寄せる禊行事を行って行事が終了します。

 

 

ご神体と両師を乗せた御輿は再び還御され温泉寺に向かいますが、途中、有馬観光協会のの前あたりで、湯女たちが帰りゆく両師の御輿に向かって「戻せ、返せ」と手招きで呼びかけ、その都度、御輿は行ったり戻ったりします。これは慈悲深い上人を慕い、上人のお帰りを惜しんで行われるものです。

このようにして、有馬温泉の新春が幕を開きます。

「金の湯」は、入初式にあわせて、11時前後、初湯が開かれます。