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奈良 古式に鹿の角きり

10月6日(土)~8日(月・祝)、奈良春日大社境内の鹿苑・角きり場で「鹿の角きり」が行われた。

 

「鹿の角きり」は、発情期を迎えるこの時期、雄鹿の角によって人が危害を受けたり、鹿が互いに突きあって怪我をしたり死んだりすることを防ぐため、江戸時代初期の1672年(寛文12年)当時に奈良の鹿の管理者であった興福寺が、奈良町奉行の要請を受けて始めたと伝えられている。

当時の角きりは、町の所々で行われ、店先や人家の格子の中や屋根で見物していたようだ。

明治時代の中頃には、春日大社の参道の所々で角きりが行われていたという。

1929年(昭和4年)より春日大社境内の鹿苑に角きり場が設けられ、現在の姿へと変わっていく。

明治・昭和の戦乱期に一時中断されたが、現在まで継承されている古都奈良の伝統行事であり、風物詩である。

 

 

【角きりの行事

 

鹿を追う勢子たちが「赤旗」を持ち、角きり場内に立派な角を持つ雄鹿を追い込み、「十字」を持った勢子が鹿の角に縄をかける。鹿はゴザの上に寝かされ、神官役が興奮した鹿の口に水差しで水を含ませて気を静めさせた後、ノコギリで角を切り落とす。

鹿は神の使いの「神鹿」とされてきたことで、神官役が角を切り、神前に供えるのである。