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西宮神社「西宮まつり」海上渡御

同日、陸渡御のあと向かうのが海上渡御。

えびす様を海に運んで海上安全祈願する「渡御祭」。

新西宮ヨットハーバーから御霊・神職・氏子・奉仕者らが10艘の船に分乗し、西宮御前浜沖まで巡行し「かざまつり」を斎行。

その昔、鳴尾の漁師が武庫(むこ)の海で漁をしていたところ、神像がかかったという。すぐに海に返したのだが、今度は和田岬で網を入れるとまた同じ像がかかったという。不思議に思って家に持ち帰ると、夜中に夢枕に立ち、「自分は蛭児神であるが、ここより西に良い宮地があるのでそこへ行きたい」と告げられた。そこで神像を今の西宮神社の地にお祀りし、寄り来る神としたという由来がある。

八乙女が切麻(きりぬさ)でお祓いする。また淡路人形芸舞組、人形芝居えびす座による『えびす舞』も船上奉納され、さながらえびすの出現を思わせ、船上、海岸から見る人を寄せ付けた。

この海上渡御の歴史は古く、平安時代末期の公卿・中山忠親の「山槐記」治承4年(1180)8月22日条に輪田御崎(和田岬)で斎行している記事がみえる。(その11月富士川の戦い)

その後、安土桃山時代の荒木村重の乱、大東亜戦争、そして阪神淡路大震災で本殿消失や倒壊などの大打撃を受けつつも、平成12年(2000)、約400年ぶりに海上渡御祭を再興。平成21年(2009)には再興10周年を記念して神戸・和田岬への神幸を行ってる。

今年も2艘の船が産宮(うぶみや)参りとして和田岬の和田神社、三石神社、柳原蛭子神社に参拝している。

 

上記簡単な記述だが、様々な困難(戦争や自然災害)に遭い、大きな被害で本社本殿の復興もみぬまま陸渡御・海上渡御の復興を行っている。

近年、日本各地の有名無名問わずに寺社は担い手不足、資金難が叫ばれ、存続が危ぶまれる伝統行事も多い。なによりも祭の再興に取り組む西宮神社なども存在するので、ぜひ足を運んでいただくのが一番であり、子、孫へと伝統を残してあげるのがなによりではないだろうか。

 

※史実によるレポート等、別途掲載したい。

 

八乙女による切麻のお祓い
八乙女による切麻のお祓い
淡路人形芸舞館の「えびす舞」  ⓒ KOBE MEET TRIP
淡路人形芸舞館の「えびす舞」  ⓒ KOBE MEET TRIP
ⓒ KOBE MEET TRIP
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海上から御霊ご帰還  ⓒ KOBE MEET TRIP
海上から御霊ご帰還  ⓒ KOBE MEET TRIP
陸渡御おみこしへ帰還 ⓒ KOBE MEET TRIP
陸渡御おみこしへ帰還 ⓒ KOBE MEET TRIP
ⓒ KOBE MEET TRIP
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