企画展:福田どうぶつえん

 

夏の嵐山を賑わせるアニマルパラダイス!「動物画」計78点が大集合

 

2024年7月13日(土)~10月1日(火)

前期:7月13日(土)~8月26日(月)/8月28日(水)~10月1日(火)

 

 

 

 この夏、福田コレクションの中でも選りすぐりの「動物画」計78点が福田美術館に集合し、嵐山にアニマルパラダイスが出現します。

 「動物園」という言葉は、江戸時代末期の1866年に福沢諭吉(1835‐1901)が発表した『西洋事情・初級』の「博物館」の項目で初めて使用されたと言われています。本展はまさに、様々な美術品を展示する美術館と、様々な動物を飼育し、公開する動物園の融合を目指した展覧会です。人々から親しまれているライオンやトラ、サルなどを、江戸時代以降に活躍した画家たちの描く「動物画」という形でご紹介します。

 近世以前、動物は崇拝の対象として特別な力を備えた存在や、長寿や子孫繁栄などのおめでたい象徴として好んで描かれました。江戸時代以降、円山応挙や伊藤若冲など、動物をつぶさに観察して写生し、よりリアルな表現で描く画家が現れます。本展ではそのような近世の画家から、木島櫻谷、速水御舟、加山又造まで、明治から昭和、平成時代を生きた日本画家たちが描いた動物の姿を、そこに込められた意味や生態の解説と共にご紹介します。画家それぞれの表現の違いはもちろん、鋭い観察眼、細やかな毛描き、洗練された色彩も見どころです。

 

 

第1章 猛獣とはたらく動物

大迫力の猛獣と牛馬など人々の生活に密接に関わった動物たちを紹介

 

 

大橋翠石《狼之図》20世紀 通期展示
大橋翠石《狼之図》20世紀 通期展示
大橋翠石《乳虎渡谿図》20世紀 前期展示
大橋翠石《乳虎渡谿図》20世紀 前期展示
大橋翠石《瑞祥》1935‐1943年 後期展示 
大橋翠石《瑞祥》1935‐1943年 後期展示 

 

第1章の始まりは、今にも咆哮(ほうこう)が聞こえてきそうな猛獣コーナーです。トラの絵を得意とした岐阜県出身の近代画家、大橋方峰・翠石兄弟の写実に迫る作品の数々からは、描かれた猛獣たちが今にも絵画を飛び出してきそうな生命力と迫力が感じられます。とりわけ大橋翠石は、パリ万博、セントルイス万博で金牌を獲得するなど世界的な評価を得ていたことでも知られます。

与謝蕪村などによって江戸時代に描かれたトラは、瞳孔が三日月型であることからネコの瞳孔を参考にして描いたと言われますが、翠石のトラの瞳孔は丸く、生きた実物を丹念に観察していたことが分かります。このような細かなポイントに注目して鑑賞するのも一興です。

 猛獣コーナーの次は「はたらくどうぶつ」コーナーです。畑を耕したり、人や物を運ぶことができるウシやウマは、人々の生活に欠かせない存在でした。後半はシカやイノシシなど日本の野山に棲む身近な動物たちです。それぞれの生態や、画家によって描き分けられた表現が見どころです。

 

山元春挙《白狐図》19‐20世紀 前期展示
山元春挙《白狐図》19‐20世紀 前期展示
下村観山《雨の春日》1930年 後期展示
下村観山《雨の春日》1930年 後期展示
岸駒《福禄寿図》1822年 前期展示
岸駒《福禄寿図》1822年 前期展示
大橋翠石《虎児之図》20世紀 後期展示
大橋翠石《虎児之図》20世紀 後期展示

 

第2章 ツルツル、ニョロニョロ、ふわふわっ!

水辺の生き物、爬虫類などユニークな仲間たちの動物画は質感に注目!

 

 第2章の前半は、哺乳類のコウモリ、甲殻類のカニ、爬虫類のヘビなどの動物画を、後半は、嵐山モンキーパークでもお馴染みのニホンザル、ウサギやリスなどの小動物を描いた作品を展示します。「ツルツル」とした質感、「ニョロニョロ」と動きのある表現、「ふわふわ」とした毛など、画家たちの細やかな描写も注目ポイントです。

 小動物が描かれた絵画に実際に触れることはできませんが、「心のふれあいコーナー」としてじっくり愛でたいコーナーです。

 

石崎光瑤《裏園秋興之図》1913年 通期展示
石崎光瑤《裏園秋興之図》1913年 通期展示
森狙仙《親子猿図》18‐19世紀 前期展示
森狙仙《親子猿図》18‐19世紀 前期展示
山内信一《春光》1931年 通期展示
山内信一《春光》1931年 通期展示

 

第3章 ほふもふ可愛いわんにゃんたち

イヌ、ネコ大集合!毛並みやそれぞれ異なる愛らしい表情に注目

 

 イヌやネコは愛玩動物として身近な動物です。多くの画家たちも様々な品種のイヌやネコを丁寧に観察し、描いてきました。もふもふの仔犬、凛とした大型犬、毛づくろいするネコなど、その愛らしい姿に画家たちの創作意欲も掻き立てられたことでしょう。毛並みや表情など身近な動物だからこそ親近感が湧く、画家たちが捉えた「わんにゃん」の姿に注目です。

点景としてイヌが登場している後期の展示作品、渡辺崋山《干公高門図》は重要文化財でもあります。

2階展示室とパノラマギャラリーにて、それぞれ動物画をお楽しみください。

 

円山応挙《竹に狗子図》左幅 1779年 前期展示
円山応挙《竹に狗子図》左幅 1779年 前期展示
円山応挙《竹に狗子図》右幅 1779年 前期展示
円山応挙《竹に狗子図》右幅 1779年 前期展示
速水御舟《洋犬》1919年 通期展示
速水御舟《洋犬》1919年 通期展示

長沢芦雪《猫と仔犬》18世紀 後期展示
長沢芦雪《猫と仔犬》18世紀 後期展示

 

 

展覧会概要

 

■企画展名 福田どうぶつえん

■会  期 2024年7月13日(土)~10月1日(火)

      前期:7月13日(土)~8月26日(月)

      後期:8月28日(水)~10月1日(火)

■開館時間 10:00~17:00(最終入館16:30)

■休  館 8月27日(火)、9月10日(火)

■主  催 福田美術館

■後  援 京都府、京都市、京都市教育委員会

■アクセス 〒616‐8385 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3‐16

      JR山陰本線(嵯峨野線)「嵯峨嵐山駅」下車徒歩12分

      阪急嵐山線「嵐山駅」下車徒歩11分

      嵐電(京福電鉄)「嵐山駅」下車徒歩4分

■料  金 一般・大学生 1,500(1,400)円  高校生 900(400)円  小・中学生 500(400)円

      ※( )内は20名以上の団体料金

      ※障がい者と介添人1名まで各1,300円

      ※幼児無料

      ※8月1日~31日までは小学生無料

〈嵯峨嵐山文華館両館共通券〉

     一般・大学生:2,300円/高校生:1,300円/小中学生:750円/障がい者と介添人1名まで:各1,300円