特別展 「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」
2024年10月5日(土)~12月2日(月)
大正から昭和にかけて活躍した木版画家・川瀬巴水(かわせはすい)(1883-1957〔明治16-昭和32〕年)。近代化の波が押し寄せ、街や風景がめまぐるしく変貌していく時代に、巴水は日本の原風景を求めて全国を旅し、庶民の生活が息づく四季折々の風景を描きました。巴水とともに木版画制作の道を歩んだのが、新時代の木版画「新版画」を推進した版元の渡邊庄三郎(現・渡邊木版美術画舗初代)や彫師、摺師といった職人たちです。四者は一体となって協業し、伝統技術を継承しながらもより高度な技術の活用を求めました。そして新たな色彩や表現に挑み続け、「新版画」を牽引する存在として人気を博します。
本展では、季節や天候、時の移ろいを豊かに表現し「旅情詩人」とも呼ばれた川瀬巴水の木版画家としての生涯を、初期から晩年までの代表的な作品とともに紹介します。まとめて観る機会の少ない連作(シリーズ)も含め約150点を展示し、叙情的な巴水の世界へと誘います。
〈第1章〉 版画家・巴水、ふるさと東京と旅みやげ
鏑木清方(かぶらききよかた)門下となって美人画を描いていた巴水は、やがて風景画にも興味を持ち、新版画を提唱する版元の渡邊庄三郎と出会います。庄三郎とともに版画家として歩み出した初期から関東大震災発生前までの作品を紹介します。『旅みやげ第一集』、『旅みやげ第二集』、『東京十二題』、『東京十二ヶ月』などの風景画シリーズが制作されています。
〈第2章〉 「旅情詩人」巴水、名声の確立とスランプ
関東大震災(1923年)によって、巴水は写生帖など画業の成果のすべてを失います。店の再建に取り掛かった庄三郎は、巴水の背中を押し、生涯最長となる旅に送り出し、新たな創作につなげていきます。震災前後で、巴水の新版画の画風は、鮮やかで、明るい色彩を強調し、より写実的な筆致へと変化し、1930年代にかけて巴水の国内外で評価は高まっていきました。巴水の代表作、《芝増上寺》、《馬込の月》を含む『東京二十景』はこの時期に制作され、震災後の新版画を象徴する存在になっています。
1933(昭和8)年、巴水は伊勢から奈良、紀州、京都、大阪を巡る2週間余りの旅をします。これらの旅の収穫をまとめて版行された『日本風景集Ⅱ 関西篇』には大阪の風景も含まれています。
近年では、アップル・コンピュータの共同創業者であるスティーブ・ジョブズが、日本の新版画を愛し、特に川瀬巴水を好んでコレクションしていました。
新版画とは・・・
大正から昭和にかけて興隆した多色摺木版画です。浮世絵の伝統技術を継承しつつも新しい表現を取り入れ、絵師、彫師、摺師、版元による協業で制作されました。
【展覧会概要】
名 称 特別展「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」
主 催 大阪歴史博物館、読売新聞社
共 催 NHKエンタープライズ近畿
後 援 公益財団法人 大阪観光局、NHK大阪放送局
特別協力 渡邊木版美術画舗
資料提供 大田区立郷土博物館
企画協力 ステップ・イースト
会 期 令和6年(2024)10月5日(土)~12月2日(月)※火曜日休館
開館時間 午前9時30分~午後5時 ※入館は閉館の30分前まで
会 場:大阪歴史博物館 6階 特別展示室
〒540-0008 大阪市中央区大手前4-1-32
電話06-6946-5728 ファックス06-6946-2662
https://www.osakamushis.jp/
(最寄駅)Osaka Metro谷町線・中央線「谷町四丁目」駅2号・9号出口、
大阪シティバス「馬場町」バス停前
観 覧 料:大人1,300(1,170)円、高大生700(630)円
常設展との共通券 大人1,770(1,710)円、高大生1,030(990)円
※( )内は20名以上の団体料金
※ 中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料
展示点数:約150点