シリーズ展「仏教の思想と文化ーインドから日本へー」
仏・菩薩の誓願と供養者の願い
2025年1月9日(木)~2月16日(日)
仏教の総合博物館として活動する龍谷ミュージアムでは、「シリーズ展 仏教の思想と文化ーインドから日本へー」をコンセプト展示と位置づけています。本展では、インドで誕生した仏教がアジア全域に広まり、日本社会にも根づいていく約2500年の歩みを、大きく「アジアの仏教」と「日本の仏教」に分けて紹介しています。
とくに「アジアの仏教」では、釈尊の生涯が表された仏伝浮彫や仏教文献を軸に、仏教の伝播の歴史や特徴的な思想を概観する展示構成とし、継続的な展示を実施しています。また、龍谷大学の図書館所蔵資料である大谷探検隊請来作品を展覧会毎の文脈にのせてご覧いただいています。
さらにシリーズ展では、毎回小さなテーマを選んで特集展示を設け、仏教をよく知らない方には ” 小さな発見 ” を、仏教をよく知る方には ” 仏教の温故知新 ” を愉しんでいただいてます。
今回の特集展示では、「仏・菩薩の誓願と供養者の願い」がテーマです。仏教経典には、仏や菩薩は一切衆生を必ず救済しようと誓いを立て、さまざまな実践を行い、教えを説くとあります。一方在家者たちは、あらゆる願いを託して、仏・菩薩の像をあらわしたり、経典を書写したり、法会を開催したりとさまざまな供養を行いました。特集展示では、仏教美術を通して、だれもが心安らかに過ごすことを願った仏教徒たちのすがたをみていきます。
仏説法図とは、中央に如来像が説法をしている様子を描いた図像です。如来像は偏袒右肩(へんたんうけん)で胸前で説法印を結び、蓮華座上に結跏趺坐(けっかふざ)しています。その周囲には、梵天(ぼんてん)、帝釈天(たいしゃくてん)、菩薩半跏(はんか)像、供養者像などが配されます。
ストゥーパ型舎利容器とは、仏教の開祖である釈迦の遺骨である仏舎利を納めた容器で、仏像が誕生した後に信仰された典型的な遺品の一つです。
仏教では、釈迦の遺骨である仏舎利を礼拝する「舎利信仰」が盛んに行われ、古代インドでは美しく飾られた容器に納入され、ストゥーパ(仏塔)に埋納されるという伝統が生まれました。この伝統は中国、韓国、日本へと伝わりました。
スワートはパキスタン北西部、カイバルパクトゥンクワ州のスワート渓谷を中心とする地域名。
八臂観音菩薩坐像とは、顔が1つで手が8つの観世音菩薩の坐像です。観音菩薩は、人々の苦悩から救う菩薩として知られており、さまざまな姿に変身して人々を救います。
燃燈仏授記浮彫とは、釈迦菩薩(前世の釈迦)がバラモンの青年修行者メーガであった時に、燃燈仏から来世で悟りを開き釈迦仏となるであろうと授けられた(予言された)という説話を表現した浮彫です。
燃燈の原語はディーパンカラ(Dipankara)で、漢訳では定光や錠光などとも呼ばれます。
ハッダは、アフガニスタン東部のナンガルハール州、ジャララバード市から南方10キロにある古代ガンダーラ地域のギリシャ風仏教遺跡。
仏伝浮彫「涅槃」とは、仏教の開祖である釈迦(ブッダ)の生涯や説話を表現したレリーフで、釈尊の涅槃(ねはん)と呼ばれる死までの物語が表わされています。
涅槃とは、すべての煩悩の火が吹き消された状態、すなわち「安らぎ」「悟りの境地」を指し、生命の火が吹き消されたということでもあることから「入滅」を表します。
仏伝浮彫は、ストゥーパ(仏塔)の周囲などに据え付けられており、バールフット、サーンチー、ブッダガヤーなどのものが有名です。また、グプタ朝のアジャンタ壁画にも優れた仏伝図があります。日本では絵因果経が絵巻としてもすぐれています。
法華経は、大乗仏教の代表的な経典。大乗仏教の初期に成立した経典であり、法華経絶対主義、法華経至上主義が貫かれており、法華経が開発した観世音菩薩や地蔵菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩は密教に引き継がれている。同時に呪術的な面も色濃く持っており、密教経典群への橋渡しとしての役割を無視することはできない。
弁財天像は、七福神の一人である弁財天を表現した像です。琵琶を奏でる姿や、剣と宝珠を持つ八臂(はっぴ)の像などがあります。
弁財天は、古代インドの五河地方の川の女神サラスヴァティが起源で、音楽神や知恵の神、福徳の神として信仰されてきました。日本においては、日本古来の神である宇賀神と仏教の弁才天が習合した宇賀弁才天ともいわれています。
大般若波羅蜜多経は、七寺一切経に含まれる経典です。七寺一切経は、尾張国の在地官で大中臣安長の発願により、承安五年(1175年)から治承三年(1179年)にかけて書写された一切経で、天地の横界線を朱で引くのが特徴です。大般若経だけは縦横とも朱の界線で書かれています。
大般若波羅蜜多経は、唐の玄奘三蔵がインドから持ち帰った経典で、全600巻にわたる大部の経典です。サンスクリット名はマハープラジュニャーパーラミター・スートラ(Mahāprajñāpāramitā-sūtra)です。
大般若経は「鎮国の典、人天の大宝」と呼ばれ、国家安穏や除災招福、現世安穏や追善菩提を目的に写経や版本、転読、真読が盛んに行われていました。
白隠慧鶴(はくいんえいかく)は、日本臨済宗中興の祖と呼ばれ、多くの禅画や墨跡を残した禅僧で、布袋図も描いています。
白隠は、駿河国原(静岡県沼津市)に生まれ、15歳で出家して臨済宗の禅僧となりました。各地を巡歴して修行を積み、33歳で郷里の松蔭寺に帰り、住職を務めました。
白隠の禅画は、難解な禅の教えを分かりやすくユーモラスな絵で表現しており、美術品としても人気があります。画題は釈迦や菩薩、七福神、動物などさまざまで、一見するとふざけたようでも禅の意味が込められています。また、禅画には公案(禅問答)が示されており、見た人に考えさせ、みずからの答えを導き出させるようになっています。
白隠は、江戸時代に低迷した臨済禅に新しい風を吹き込み蘇らせた名僧で、京の奇想の画家たちの起爆剤となり、禅画という新しいジャンルを確立したという点においても、日本美術史で特筆すべき存在です。
【開催概要】
会 期:2025年1月9日(木)~2025年2月16日(日)
会 場:龍谷大学 龍谷ミュージアム
住 所:〒600-8399 京都府京都市下京区堀川通正面下る [西本願寺前]
展 示 室:龍谷大学 龍谷ミュージアム
時 間:10:00~17:00(最終入館時間 16:30)
※11月17日(金)、1月31日(金)は、ナイトミュージアム開催につき20時まで開館(最終入館時間 19:30)
休 館 日:月曜日(ただし、1月13日は開館)、1月14日(火)
観 覧 料:一般 500(450)円
シニア 450(350)円
大学生 400(300)円
高校生 300(200)
中学生以下 無料
障がい者手帳等の交付を受けている方及びその介護者1名 無料
(手帳またはミライロIDを受付にてご提示ください)
※シニアは65歳以上の方
※( )は前売り・20名以上の団体料金
龍谷ミュージアム|公式サイト
SNS https://x.com/rryukokumuse
主 催:龍谷大学 龍谷ミュージアム、京都新聞
協 力:龍谷大学親和会、龍谷大学校友会
【関連イベント】
ナイトミュージアム・スペシャルトーク
20時まで開館するとともに、学芸員の展示の見どころを解説します。
日時:1月17日(金)、1月31日(金)
※スペシャルトーク:17:30~18:00
◎事前申し込み不要/聴講無料/当日の観覧券必要/最終入館19:30