企画展「アイラブ百人一首」
2024年2月1日(土)~4月13日(日)
嵯峨嵐山文華館
自然への愛、人への愛など和歌と日本画に表現された愛(ラブ)にあふれた企画展
「アイラブ百人一首」は、小倉百人一首競技かるたのオールスター戦「第6回ちはやふる小倉山杯」(2月23日開催)で嵐山が盛り上がるシーズンにあわせて企画した、百人一首をテーマとした展覧会です。百人一首に詠まれた景物を思い起こすような近世から近代にかけて描かれた日本画の数々を展示します。
百人一首は、和歌の名手・藤原定家が飛鳥時代から鎌倉時代までの百人の優れた歌人による和歌を一首ずつ集めたものです。定家が、嵯峨嵐山文華館近くに位置した小倉山の別荘で和歌を撰んだことから「小倉百人一首」とも呼ばれるようになりました。歌人百人の感性がきらめくこれらの和歌は、現代でも親しみを込めて口ずさまれる、いにしえの「名曲ベスト100」と言える存在です。和歌が文化として豊かに花開いたのは平安時代のことです。1階展示室では、宮中風俗を描いた池田孤邨《五節句図》、長沢芦雪《月夜紅葉図》や加山又造《おぼろ》など、四季折々の風趣にあふれた作品の数々を展示します。また、百人一首には恋愛の機微を巧みにとらえた歌も数多く詠まれました。2階展示室では、男女の恋模様を詠った和歌を選りすぐり、関連する絵画とともに解説します。上村松園《美人詠哥図》や菊池契月《六歌仙図屏風》など、画題としても愛好された、和歌をたしなむ女性像や歌人の絵姿も見どころです。
成立以降、長きにわたり愛され続けてきた百人一首の魅力と、移ろいゆく季節や変化に富んだ景色を愛おしみ、その感動を歌に託した歌人たちに思いを馳せたくなるような展示構成としています。
第1章 季節・風景を愛でる
宮中風俗や歌人の心を動かした情景に触れ、百人一首が詠まれた時代を想う
歌人百人の感性がきらめく百人一首。彼らはどのような事物に心を動かされ、歌を詠んだのでしょうか。
第1章ではまず、池田孤邨《五節句図》、菊池契月《かづけもの》など和歌が盛んに詠まれた平安時代以降の宮中風俗を描く作品を展示します。絵画の中の人物たちが過ごす空間、服装、そして年中行事の様子などから、当時の雰囲気を身近に感じることができます。
百人一首ファンもこれから百人一首を知る方も、気軽に
その魅力に触れられるよう、本展では特別に制作した解説パネルを用意しました。和歌が詠まれた時代背景や画題についても分かりやすく説明しています。
続いて、長沢芦雪《月夜紅葉図》、加山又造《おぼろ》などの四季が織りなす自然美にあふれた絵画を和歌の説明とあわせて紹介します。春の咲き誇る桜や秋の照る満月を愛でるといった、現代人にも受け継がれている心を、百人一首と日本画の名品とともに再発見します。
また、和歌の名手で、百人一首の撰者・藤原定家の直筆とされる《小倉色紙》の展示も見逃せません。
第2章 和歌と絵画で紡ぐ愛
今昔変わらない「誰かを想う気持ち」を感じさせる珠玉の和歌・名画を紹介
募る片思いの切なさ、待ち人の現れないやるせなさ、束の間の別れの恨めしさ。
百人一首には、今を生きる私たちの心にも響くような恋愛にもちなんだ和歌が多く、43首が納められています。第2章で主に紹介するのは、恋心が巧みに表現された和歌と、キーワードとなる言葉などを視覚化した絵画です。「待ち焦がれる想い」「片想い」など、恋心によって生み出される感情の機敏を詠った和歌を、それらの情景を思わせる名画とともに紹介します。また、恋愛だけではなく、「親子愛」や「友愛」など、家族や友人など愛おしく思う気持ちが込められた和歌にも焦点を当てています。
菊池契月《六歌仙図屏風》は、古くから絵画の題材として扱われてきた平安時代を代表する歌人である、僧正遍照、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、小野小町、大友黒主を描いた作品です。契月は明治から大正・昭和にかけて京都で活躍しました。人物の生き生きとした容貌や細やかな装束の表現は、人物画に定評のあった画家ならではのものです。
このほか、上村松園《美人詠哥図》や、画題としても愛好された和歌をたしなむ女性像も見どころです。
今も昔も変わらない「誰かを愛おしく思う気持ち」を追体験できるような作品が揃っています。
【展覧会概要】
企画展名:アイラブ百人一首
会 期:2025年2月1日(土)~4月13日(日)
前期:2月1日(土)~3月3日(月) 後期:3月5日(水)~4月13日(日)
開館時間:10:00~17:00(最終入館 16:30)
休 館 日:2月18日(火)、2月23日(日)、3月4日(火)
※2月22日(土)は14:00で閉館
料 金:一般 1,000円(900円)
高校生 600円(500円)
小・中学生 400円(350円)
※( )内は20名以上の団体料金
※障がい者と介添人1名まで各600円(500円)
※幼児無料
<福田美術館との両館共通券>
一般・大学生:2,300円
高校生:1,300円
小中学生:750円
障がい者と介添人1名まで:1,300円
主 催:嵯峨嵐山文華館
後 援:京都府、京都市、京都市教育委員会、京都商工会議所